2017.05
2017.05.27 Sat
3年近く前になりますが、マーチンのテナー・ハードラバー用のリガチャーをeBayで落札しました。
こちらも以前落札したリガチャーのネジ60本と同様で誰も入札者がおらず、開始価格での落札でした。
個数が半端ではありません。袋入り合計100個です。
ふ
アメリカ国内の何処かの楽器屋倉庫に眠っていたのでしょう。断捨離?閉店のため在庫処分?よく分かりませんが、テナーのリガチャーとして出品されていましたがアルトのリガチャーも含まれており、テナー用が約70個、アルト用が約30個でした。
以下の値札が入っていました。
リガチャー1個2ドル25セントと言う事でしょうね、現代のリガチャーの価格からすると信じられない安さです。
値札の裏面です。
Wurlitzer社が親会社で何処かにOEMでリガチャーを作らせ、Martinに卸しているのでしょうか。
リガチャー自体には何もメーカー等の刻印はありません。
テナー用
アルト用
肝心のサウンド、吹奏感ですが、これが本当に素晴らしいです。
ダークで豊かな倍音成分を含み、確実な素早いレスポンス、Otto Link等のラバーマウスピースにバッチリとフィットします。
削り出しのネジの使用、リガチャー本体のバリ取り等の仕上げ、ラッカーのクオリティも高く、多分アメリカでこのレベルの仕事が出来るのは60年代以前なので、この頃の商品と考えられます。
リガチャーネジ60本の中のインチ・ピッチのネジの中で、古そうな物と付け替えて吹いて見ましたが、その違いがかなりあるので面白いです。
もっとも練習もしないでグッズ弄りばかりしているのはオススメ出来ませんが(爆)
最後にテナーのリガチャーを全て机の上に並べてみました。
凄い数でした。
2017.05.25 Thu
今回取り上げるのはセルマー・マグニトーン・リガチャーです。
こちらも前回のセルマー・シングルスクリュー・リガチャーと同様に1950年代に発売されていましたが、シングルスクリュー・リガチャーがフランス・セルマー社の製品に対してアメリカ・セルマー社の製品になります。
リガチャーの素材は洋白(洋銀)です。
以下は珍しい銅製のマグニトーンです。
アルトからテナー、バリトンまで、主にラバーですがサイズが合えばどのマウスピースにも使用できると言う、いかにも西洋的な合理主義の産物です。
とはいえ、マウスピースの大きさ、テーパー(相対する面が対称的に傾斜している円錐状の部分。また円錐のように、先細りの形になっていること)が合って、マウスピースの形にぴったりとフィットすると、効率良く鳴るようになります。
逆に言えばマウスピースの形に合わないとマグニトーンの特性が発揮されません。
以下はマグニトーンをコピーして現代に再現した、イタリアのBorgani社製のリガチャーです。
テナー奏者Joe Lovanoが使用した事で有名になったリガチャーですが、ご覧の通り縦のスリットがマグニトーンよりも細かく設けられていて、マウスピースの微妙な太さに更に合致します。実はこのスリットはサウンド面や見ため的な要素もあるかも知れませんが、大きさを調整するツメを入れるためのものなのです。
マグニトーンの肝心のサウンド、吹奏感ですが、薄くて華奢な形状からは想像出来ない、タイトでしっかりとした音色、豊かな倍音成分、素早いレスポンスです。
銅製は洋白よりも丸い、幾分木管的なサウンドです。どちらかと言えば洋白の方がマグニトーンらしさが出ています。
難点としてはチューニングの際にズレ易い、マウスピースに傷が付く場合がある、前述の通りしっかりフィットするマウスピースが限られる、です。
じゃあスリットの多いBorgani社のリガチャーが良いのでは、と言う事になりますが、これが素材の違いなのか、Borganiの方が幾分厚く作られているからなのか、マグニトーンの音色、吹奏感に明らかに軍配が上がります。
現行のセルマー社サックスとビンテージ・セルマーの違いと言ったところでしょうか。
2017.05.21 Sun
セルマー・シングルスクリュー・リガチャーに続く別のリガチャーです。
作りや形状は前回のセルマー社のリガチャーにそっくりです。リードにあたるプレートが厚めでそこは独自の形をしています。ブランドやメーカー名は何処にも記載されていませんが、Pageというメーカーのリガチャー、いやKeilwerth社の物だという話を聞いた事があります。
全体的に少し大振りな仕上がりです。
メッキもしっかりかかっており、マウスピースの装着感もタイトでリードの固定感もバッチリです。印象としては「これはイケそうだ!」と予感させますが実際の使用感は、と言うと、
これがひたすら「重い」んですね。
最初に息を入れた感じは悪くありませんが、更に入れようとすると入りません。まるで背後から羽交い締めされているかのようです。振動が止まり倍音成分も希薄な感じで「硬い」サウンドです。この個体の個性なのかと思い更に同じリガチャーを2個、合計3個試してみましたが、いずれも殆ど同じ吹奏感でした。リードの番程を下げる、違うタイプの物に変える等試してみましたが印象は殆ど変わりません。
思うに「こう言う形のリガチャーを作ろう」(セルマーの事ですが)、このunknownメーカーはそれがまず始めにありきでの作成、プレイヤーサイドの要望、意見を取り入れず「作れば何とかなるだろう」的などんぶり勘定が支配したのでは、と感じられます。
実際eBayに出品されているこのリガチャーは重くて使いきれなかったのか、美品がとても多いです。
2017.05.20 Sat
先日eBayでリガチャーネジ60本落札を報告しましたが、今回はリガチャーです。
セルマー・シングルスクリュー・リガチャー・シルバープレート・テナーラバー用。
Theo WanneのサイトにあるMouthpiece Museumによると、このタイプのリガチャーは1958年に発売されたそうです。
オットーリンク・メタルのリガチャーと同じ、大きなシングルスクリューで下からプレートをリードに圧着させて押さえるシステムが採用されており、リードとマウスピースの関係としては理想的だと思います。因みにセルマー・メタルマウスピース用はこちら。
両方とも実にしっかりとした作りで当時のセルマー社の職人の意気込み、情熱を感じます。さすが歴史ある楽器メーカー、憎いほどネジの作りが確実でアソビが有りません。そして分厚いプレートが特徴的、効果的です。
肝心のサウンド、吹奏感ですが、セルマー2本ネジ下締めに比べ、幾分抵抗感は増しますがレスポンスの素早さ、吹奏感の安定度、倍音成分の豊富さ、雑味のゴージャスさ、フラジオ音域の確実さ、自分の好みですが全て申し分有りません。
こちらは同じタイプでラッカー仕上げのもの。
全く同じ作りですが、こちらはとても良く使い込まれており、プレート部分のラッカーが完全に取れています。
ビンテージ・セルマー・マークⅥやスーパー・バランスのラッカーが剥げた楽器のような渋い味わいのあるサウンドですが、金属疲労とまでは行かずともレスポンスの速さは結構落ちます。
今回落札したこのシルバーのリガチャーは奇跡的に殆ど使われておらず、新品に近いクオリティを維持しています。
出品者の話によりますとセルマー・エアーフロウ・モデルのマウスピースに付属した状態で入手、マウスピースはこのモデルを探していた友人に譲り、リガチャーのみを出品したそうです。
1958年ごろエアーフロウ・モデルのマウスピースを購入すると、このリガチャーが付属で付いてきたのかも知れません。
大変丁寧な作り、仕上げのリガチャーで、ゼヒ現代のテクノロジーで再現して発売して貰いたいですが、間違い無くかなりの価格になりそうです。
2017.05.10 Wed
異議あり‼️
このセリフでお馴染みです。アニメやゲームで大人気の逆転裁判。
2017年5月6日「逆転裁判15周年記念オーケストラコンサート」
出演:東京フィルハーモニー交響楽団
佐藤達哉(as,ts)
会場:上野・東京文化会館
無事終える事が出来ました。
2,300人収容の大ホール、昼夜2部とも5階席まで満席、ステージではアニメの映像もスクリーンに映され、普段は打ち込みで演奏される名曲の数々も華麗なオーケストラでの文字通り生演奏‼️
観て聴いて、ファンの皆さんとても喜んでおられました。
東フィルに入って2曲演奏させて頂きました。当日のコンサートはレコーディングされ、いずれCDやネット配信での販売を考えているそうです。
演目のうち1曲はテナーサックスをフィーチャーした美しいメロディのバラード。リリカルでゴージャスなストリングス、ウッドウインズ、ブラスを配したオーケストラをバックにメロディを吹いていると、名盤Claus Ogerman / Michael BreckerのCityscapesでの名演を思い浮かべてしまいます。
いずれ全曲オーケストラをバックに自分のコンサートを開いてみたいと心から思いました(^_^)v
2017.05.05 Fri
先日eBayのオークションでリガチャーネジ60本セットを落札しました。
と言っても他に誰も入札する人がおらず、開始価格での落札でした。落札する僕も僕ですが(笑)
ネジ無しのリガチャー本体30個(ネジ2本づつ使用のため)が出品される日がいつか来るかも知れません(爆)
日頃からネジによる楽器の振動の違いに興味があり、カドソンの輸入元の中島楽器にサックスのネジ全てを全て洋白(洋銀とも言います)で作って貰いました。これは好評につき製品化されています。
ネジの中でも特に興味があるのがリガチャーのネジです。最近(と言っても随分と前からですが)鋳物で作られた、リガチャーの様なリードの振動を伝える、コントロールするパーツに全く不向きなネジを用いての物を見かけますが、やはり削り出しのネジに勝るものはありません。
今回落札した60本は全て削り出しのネジで、モノによってはその形状から1940〜50年代と推測される物も何本か含まれています。比較的新しいネジも実にしっかりした個体ばかりです。一体どんな人が出品したのかにも興味がありますが、その点はまた後日に回しましょう。60本のネジはしっかり3種類のネジピッチに分類されました。
①セルマー
②ウッドストーン
③ハリソンやマーチン等のアメリカン(インチ仕様)
インチ仕様に40〜50年代のビンテージネジが多かったです。
後期ハリソンや現行品のメーカー違いハリソン形状のリガチャーには鋳物ネジが使われていますが、これに削り出しネジを使うとあまりの鳴り、音色の違いに驚きます。
倍音が多く含まれ吹奏感がアップし、幾分抵抗感が増えますがよりエアーが入るようになり、むしろコントローラブルになります。
またセルマーやウッドストーンに交換可能なネジの中には通常の物より質量重め、形状もしっかりした物があり、こちらに交換するとやはり吹奏感がとても変わり、タイトな吹き心地になります。
2017.05.05 Fri
最近良く聞いているのがStan Getzです。
学生の頃はGetzのテナーの音色があまりにもシューシュー、ガサガサと聞こえてその本当の良さが分かりませんでした。
酒の好みが20代はビールやサワー等の飲み易いものから、加齢を重ねてバーボン、紹興酒、芋焼酎等の「臭い」酒に移り変わったのと同様に(笑)、Getzの音色が堪らなく好きになりました。
特に好みがオットーリンク・スラントを使っている頃の1960年代の演奏です。
50年代末からヨーロッパに移住し、地元のリズムセクションと共演を重ね、60年頃にアメリカに戻った時から音色がグッと逞しく太くなり、フレージングも一層淀みない安定したものになりました。何よりタイム感が完璧と言って良いほどの境地に達しました。
そんな彼の絶好調な時期の演奏を収録したCDがStan Getz Live At Newport 1964
未発表作品とは信じられないクオリティの演奏、そして録音状態が素晴らしいです。
ts) Stan Getz vib)Gary Burton b)Gene Cherico ds)Joe Hunt
、そしてスペシャルゲストに米国のジャズフェスティバルに初出演のvo)Astrud Gilberto、加えてtp)Chet Baker。
当時のレギュラーメンバーにゲストを加えた形です。
Phil WoodsのWaltz For A Lovely Wife、EllingtonのTonight I Shall Sleep、Michael GibbsのSweet Rain等の選曲もマニアの好みを擽ります。GetzのMCにもメチャ毒があって大変楽しいです。