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2020.03

2020.03.27 Fri

Please Mr. Jackson / Willis Jackson

今回はテナーサックス奏者Willis Jacksonの1959年録音初リーダー作「Please Mr. Jackson」を取り上げたいと思います。

ts)Willis Jackson org)Jack McDuff g)Bill Jennings b)Tommy Potter ds)Alvin Johnson

1)Cool Grits 2)Come Back to Sorrento 3)Dink’s Mood 4)Please Mr. Jackson 5)633 Knock 6)Memories of You

Recorded: May 25, 1959 Studio: Van Gelder Studio, Hackensack, New Jersey Label: Prestige PR7162 Producer: Esmond Edwards

Willis “Gator Tail” Jackson、並み居るホンカースタイルのテナー奏者の中で実はこの人が真打かもしれません。日本ではあまりその存在を知られていませんが、米国では絶大な人気を誇り、リーダーアルバムを40枚以上リリースしています。32年4月Florida州Miami生まれ、15歳の時にピアノを始めましたがHerschel Evans, Lester Young, Ben Webster, Charlie Parker, Coleman Hawkins, Illinois Jacquet達サックス奏者に多大な影響を受け、すぐにテナーに転向しました。ほどなくCootie Williamsのバンドに参加、そこで録音したJacksonのオリジナルGator Tail Part 1, 2が49年にヒットを遂げました。彼のミドルネームはこの曲から付けられたのは言うまでもありません。

40年代から50年代にかけてJacksonのサイドマンでの演奏を集めたコンピレーション・アルバム、こちらにGator Tail Part 1, 2が収録されています。

56年米国TV番組The Ed Sullivan Showに自己のバンドで出演し、ヒットチューンGator Tail Part 1を超高速で、凄まじいテンションを伴って演奏した映像が残されています。僅か2分強の演奏時間ですが、この演奏でJacksonはホンカー・サックス奏者としての真価を見事に発揮し、その評価を決定付けたと思います。

https://www.youtube.com/watch?v=7-is9GsxCT0 クリックしてご覧下さい。

ここでの演奏に於けるJacksonのパフォーマンスの数々(身体を揺らす、くねらせる、楽器を振り回す、ブリッジする、Lester Youngの如く楽器を横向きに構える、ステップしながら〜座りながら〜膝まずきながら吹く、同じ音をひたすら執拗にグロウルしながら吹き続ける、急に口からマウスピースを離したと思えばいきなり咥え直し、ほおにマウスピースが刺さらないかと危惧してしまうほどの早技、リードに歯を当ててフリークトーンを鳴らす、感極まって叫ぶ(何度も!)、クライマックスでは楽器を客席に向かって投げ飛ばす素振りをし、そのまま走り去る等、とにかくギンギンになり切っています!)、信じられない程のエネルギー、集中力、テナーが壊れそうなくらいに鳴っている超極太の音色を携えた演奏から、ホンカーとは一体何者か?どのような演奏スタイルで、パフォーマーとしてどんな技を見せてくれるのか?その定義の全てを体感させてくれて、余りあるものがあります。司会者Ed SullivanもJacksonを始めとするバンドのメンバーの(Jacksonと一緒に最後はジャンプしながら吹いていました!)、あまりの弾けぶりに驚いたような、呆れたような顔を見せています。ここでのプレイと比べれば、本作の演奏は随分と大人しく聴こえますが、27歳にしての初リーダー作、一度原点に帰っての演奏に徹底したようにも聴こえます。参加メンバーは当時のJacksonグループのレギュラー・メンバーですが、ベーシストTommy Potterはこのレコーディングのために加わったそうで、普段はテナーJackson、ギターBill Jennings、オルガンJack McDuff、ドラムAlvin Johnsonのカルテットで演奏活動を行っていたようです。ホンカーは豪快で男性的、さらに極太感が必須のテナー・プレーヤーです。筆頭に挙げられるのがEddie “Lockjaw” Davis, Big Jay McNeely, Illinois Jacquet達ですが、Jacksonの表現は彼等よりもよりワイルドで大胆、しかし繊細さや色気も十二分に併せ持ち、言うなればホンカー道を極めているマエストロです。本作の演奏にも随所に聴かれる遊び心がそれらを裏付け、余裕すら感じさせます。

本作録音日の59年5月25日にレコーディングされたナンバーは本作を含め、4枚のアルバムに分散してPrestige Labelからリリースされました。これらをまとめてBonus Track 2曲(Tommy Potterが抜けたQuartet編成で、シングル・レコードとしてリリースされたテイク)を追加し、合計16曲を1枚のCDに(!)収録した超お徳用アルバムが、SpainのFresh Sound Records(FSR)からリリースされています。「A One-day Session 05/25/’59」、これでレコーディング当日の全貌が明らかになりました。FSRはこの手の作品のリリースがお手の物で、色々なアーティストのAll-in-Oneアルバムが発売されています。

それでは演奏に触れて行きましょう。1曲目はJackson, McDuff, Jennings 3人の共作Cool Grits、曲自体はブルースでキーはF、メロディらしいメロディも無いのでとりあえずキーだけ決めてブルースを演奏したように思います。ベースのウオーキングから始まりドラムが加わり、オルガンがソロを取り始めますがこの時点である種のムードが出来上がります。ギターがカッティング開始、テナーがそれに合わせごく小さい音でバックリフを入れます。続いてギターソロが始まりますが、オルガンとフルアコ・ギターの音色のブレンド感で、こちらもすっかり雰囲気が整います。今度はオルガンのバッキングにテナーが合わせ、引き続きテナーソロが始まります。音量を抑えたサブトーンの権化、付帯音の塊のような音色は超好みです!Jacksonの楽器セッティングですが、マウスピースはOtto Link Metal Florida 10番、リードはおそらくRicoの3半あたりでしょうか。テナー本体は名器Conn 10M、ジャケ写にも見られるネック部分の羽根付き餃子のようなヒレが特徴です。ブロウ自体も抑圧されたクールさの中に熱いホンカー魂をチラチラと感じさせます。前出のEd Sullivan Showでのパフォーマンスとは真逆ですが、いきなり玄関から土足で乱入とはせず、まずは丁寧なご挨拶から。ソロの後半で一瞬オフマイクになるのはMcDuffにバトルを始めようぜ、と合図を出すためでしょう、レコーディングでのこの手のやり取りには生々しさを感じます。

2曲目Come Back to Sorrentoはとても意外な選曲になります。そしてこの演奏の存在が本作の価値をグッと高めました。SorrentoはItalyのNapoliにある都市で風光明媚なリゾート地として有名です。この曲もカンツオーネの名曲としてLuciano Pavarottiを始めElvis Presley, Connie Francisが、ジャズボーカルではFrank Sinatra, Dean Martinたちに歌唱され、ビッグバンドではStan Kenton、あと我らが原信夫とシャープス&フラッツが取り上げていますが、コンボ演奏で取り上げられたのは本作くらいではないでしょうか。美しいナンバーですがシンプルなメロディの曲なので大きな編成でアレンジをしっかりと施し、曲全体をバックアップしなければなかなか形にするのが難しいと思います。中学校の唱歌でも取り上げられていましたが、その次元であれば何ら問題はないでしょう、ジャズの小編成では何か特別な策を講じなければレコーディングして残すのは困難です。ここでは何と言ってもJacksonのテナーの歌い回しが本当に素晴らしく、リズムセクションのまるでLas Vegasのショウ仕立ての如きゴージャスな(幾分大げさな)バッキングを受けて、オンマイクで超ピアニシモでの音量を中心に、深い音色で様々な振幅、波形のビブラート、ベンド、グリッサンド、1’38″で聴かれるキスのような「効果音」(笑)などを駆使し、甘く切ないニュアンスと絶妙にブレンドさせ、Sorrentoのメロディをドラマチックに歌い上げているのです。彼の楽器コントロールのテクニックは申し分ありません。そしてそして、2’23″からテナーのきっかけでテンポが設定され、ここから始まるテナーのフレーズと、リズムセクション兼コーラスチーム(?)とのやり取り、Jacksonの吹いたフレーズを耳コピーして即座に反復するCall & Responseの見事で楽しげな感じと言ったら!音程が気になる部分もありますがそこはご愛嬌、実にスポンテニアスです!その後3’11″からはRock ‘n’ Rollの時間です!1コーラスをまさしくホンカー・テイストでグロウルしながらブロウし、リタルダンド、カデンツァを経て曲のトニック音であるテナーのG音をフラジオで伸ばしますが、リズムセクション全員から「もっと高く!」と促され(笑)、その上のA音、そしていかにも頑張った風に〜お決まりなのでしょうが(笑)〜更に上のD音まで出し、リズム隊のお許しが出て(笑)、1曲丸々吹きっぱなしコーナーは目出度くFineです。実はStan Kenton Orchestra 46年の演奏で、当時楽団専属の名テナー奏者Vido Musso(Napoli近くのSicily島出身)をフィーチャーしたバージョンが(アレンジはPete Rugolo、この人もSicily島出身)、こちらがある程度ベースになっていますが、本テイクの説得力の方に確実に軍配が上がります。

Come Back to Sorrento収録のStan Kenton Orchestra作品「Artistry in Rhythm」

3曲目はMcDuff, Jackson 2人の共作Dink’s Mood、ミディアム・スロー、いや、早めのバラードとしてのテイストが心地よい、McDuffのオルガンをフィーチャーしたナンバー、バックビートに隠し味に聴こえるギターのカッティングも魅力的です。Jacksonはメロディを演奏するだけですが、実にムーディで豊かな表現に徹しています。

4曲目は1曲目と同様に3人の共作で表題曲Please Mr. Jackson。オルガンのイントロから始まりテナーのグロウル、クレッシェンドするフィルインが入りつつ曲が進行しますがこちらもブルース、その場で簡単な打ち合わせをしただけで演奏を開始した風が感じられます。テナー、ギター、オルガンとソロが続きますがJacksonはここでもオブリガードを入れつつ、伴奏にも良い味を出しています。

5曲目はJenningsとピアノ、オルガン奏者でJenningsのかつてのボスであったBill Doggettとの共作633 Knock、メロウなメロディが小気味良く、シンコペーションがスイング感を提供してくれるA-A-B-A形式32小節のナンバーです。テーマ後ギターソロになりますが、Jackson再びオブリを入れつつ、次の自分のソロに繋げています。All of Meのメロディ引用が聴かれますが、引用(早い話ダジャレですね)もホンカーの技の一つなのです。オルガンソロに続きファンキーな雰囲気が一層醸し出されます。ラストテーマのサビ後でのメロディのニュアンス付けや、エンディングのキメが他には無くオシャレなので、この部分はかつてのボスの音楽的采配があったように感じます。

6曲目ラストはスタンダード・ナンバー Memories of You、こちらは案の定テナーの低音域でのメロディ奏をメインにしたサブトーン大会です!少しばかりオルガンのバッキング音量が大きくて支配的、せっかくの魅惑のテナー・サウンドには出しゃばり気味ですが、むしろこのくらいの猥雑な感じがホンカーらしいのかも知れません。テーマ後にメロディアスなギターソロ、サビからテナーが復帰しますがオクターブ上の音域でむやみやたらに(爆)ブロウ、カデンツァではこれぞ正統的ホンカー然と、サブトーンや発展型キス奏法(笑)を駆使し、場面をこれでもかと盛り上げています。

2020.03.17 Tue

Comin’ On / Dizzy Reece

今回はトランペッターDizzy Reeceの1960年録音リーダー作「Comin’ On」を取り上げたいと思います。モダンジャズ黄金期に録音されたにも関わらず40年近くオクラ入り、99年にアルバム2枚分をカップリングした形でリリースされました。

tp, conga)Dizzy Reece ts)Stanley Turrentine ts, fl)Musa Kaleem (track 6-9) p)Bobby Timmons (track1-5), Duke Jordan (track 6-9) b)Jymmie Merritt (track 1-5), Sam Jones (track 6-9) ds)Art Blakey (track 1-5), Al Harewood (track 6-9)

1)Ye Olde Blues 2)The Case of the Frightened Lover 3)Tenderly 4)Achmet 5)The Story of Love 6)Sands 7)Comin’ On 8)Goose Dance 9)The Things We Did Last Summer

Recorded at Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, New Jersey on April 3 (track 1-5) and July 17 (track 6-9), 1960 Producer: Alfred Lion Label: Blue Note

充実した内容の作品です。録音当時にリリースされたのならばジャズの定番の1枚になっていたかも知れません、世に出る時期が大切な事を感じます。本作は1960年4月3日と7月17日に行われた二つのセッションから成っています。リズムセクションは全く異なりますが、共通するミュージシャンとしてはリーダーDizzy Reeceの他にもう一人、テナーサックス奏者Stanley Turrentineです。4月3日の方のメンバーは彼ら二人のフロントにピアノBobby Timmons、ベースJymmie Merritt、そしてドラムArt Blakey、当時のArt Blakey and the Jazz Messngers(JM)のリズムセクションがそっくりそのまま参加しています。本作レコーディング1ヶ月前の3月6日にはJMの作品「The Big Beat」が録音されていますが、JMの音楽監督がBenny GolsonからWayne Shorterにちょうど交代した時の作品です。

Golsonも優れたテナー奏者かつ稀代のメロディメーカー、彼の作曲したナンバー、名曲の数々はジャズのスタンダードとして現在でも愛奏されています。彼が音楽監督時の58年10月30日録音、JMの代表作にして傑作「Moanin’」が翌59年1月にリリースされています。

新音楽監督Shorterの持つ音楽的ポテンシャルに、Blakeyはさぞかし期待に胸を膨らませた事でしょう。自己のリーダーバンドJMが彼の音楽的サジェスチョンによりどんな風に成長していくのか、変化していくのかにもワクワクしたと思います。Blakeyにとって音楽家としての何度目かのピークを迎えつつある時期といって良いでしょう。本作でのドラミングの弾けぶりからもその事が手に取るように伝わりますが、物凄いテンションです!「Lee(Morgan)とWayne(Shorter)も素晴らしいけど、今日はまた違う二人のフロントとお手合わせ、楽しみだ!」とか何とかBlakey考えながらNew Jerseyのスタジオに向かった事でしょう。他メンバーの演奏については後ほど改めて触れるとして、リーダーReeceについてご紹介しましょう。31年1月中米Jamaica, Kingston生まれで現在89歳、現役ミュージシャンとして今も演奏しています。16歳からプロ活動を開始、48年に渡欧し主にParisを拠点に活動しました。Don Byas, Kenny Clark, Frank Foster, Thad Jonesらと共演し、渡欧中のMiles DavisやSonny Rollinsにその才能を称賛され59年に渡米、NYCに進出します。在欧時に既にリーダー作を発表していますがそれとはまた別に、この当時にしては珍しくVan GelderスタジオではないLondonのDeccaスタジオで58年8月に録音された「Blues in Trinity」BST 84006が、Blue Note Label(BN)から59年にリリースされています。自分で企画して録音した音源を持ち込んだのでしょうか、米仏混合ミュージシャンたちと演奏しています。

本格的なBNへの作品は59年11月録音の「Star Bright」になります。もちろんVan Gelderスタジオでのレコーディング、Alfred Lionプロデュースです。メンバーはHank Mobley, Wynton Kelly, Paul Chambers, Art Taylorら当時のMiles Davis Quintetがらみの人選による作品です。

思うにLionたちBN首脳陣はReeceの作品をどのような展開で制作して行けば良いかを算段し、やはりモダンジャズ黄金の組み合わせ、トランペット、テナーサックスがフロントのクインテット編成とし、テナーには前年59年Max Roachのバンドに参加し頭角を現してきた俊英Stanley Turrentineを起用し、リズムセクションには今が旬のBlakeyを筆頭にしたJMトリオで行こうと。ちなみにReece, Turrentine2管のフロント作品にはDuke Jordanの代表作60年8月録音「Flight to Jordan」もあります。

またTurrentineのリーダーBN第1作目として同時期60年6月に「Look Out!」が録音されています。

当時の若手の充実した作品が目白押しの60年前後のBN、関係者は満を持して本作「Comin’ On」のレコーディングに臨んだと思います。Reeceのブリリアントでビッグトーンのトランペットはラテンの血の成せる技でしょう、ニュアンスやフレージングには米国人とは違いを感じる時があります。さらに欧州で10年近く渡欧組の米国ミュージシャンと切磋琢磨し、ジャズを身に付けたバックグラウンドもあり、ジャズマンとしての素養や魅力、存在感も抜群です。本作収録1曲目から5曲目がJMトリオとの演奏になります。

演奏について触れて行きましょう。1曲目ReeceのオリジナルYe Olde Blues、アップテンポのブルースフォームのナンバーです。冒頭いきなりテナーソロが始まり、しかもテーマ演奏がなく延々と続くリーダー以外の奏者のソロに意表を突かれますが、Turrentineの魅惑の音色、26歳にして既に自身のトーン、ニュアンスを確立しており、フレーズ語尾のビブラートが堪りません。ソロのアプローチも十分にオリジナリティを感じさせます。その後ろで大暴れするBlakeyのドラミング、シャープなシンバルレガートはもちろん、連発されるナイアガラロール、フィルイン、演奏する事が嬉しくて、楽しくて仕方がない、まるで思春期の少年を思わせる溌剌ぶりです!Timmonsのバッキングも見事にBlakeyと連んでいます!1コーラスのテーマを経てReeceのソロがスタート、楽器が鳴りまくり状態、全ての音域がムラなく響いています!フレージングはClifford Brown直系のスタイルですが、間を生かしつつ巧みなラインを聴かせます。ここでもコーラスやソロイストの交代時に繰り出されるBlakeyのアプローチのスリリングな事!Timmonsのスインギーなソロにスイッチしてからは様子を伺いつつ、シンプルにサポートするメリハリが素敵です!その後テナーだけでドラムと2コーラスの4バース、同様にトランペットだけで4バースが2コーラス行われますが、冒頭部分での意表をついたテナーソロの展開を踏襲し、演奏に一貫性を持たせています。

2曲目もReeceの曲でThe Case of the Frightened Lover、印象的なイントロからテーマが始まりますが、ユニークなメロディラインを有したナンバーです。コード進行にも一捻り加えられた、ソロイストにはハードルが一段階上げられたオリジナル。ここでも印象的なのがMerrittのベースです。on topでタイト、Blakeyのトップシンバルとのコンビネーションは申し分ありません!女房役という言葉がぴったりのサポートです。ソロ先発のReece、半音進行のコード・チェンジに対しスキーやバイクのスラロームの如くアボイド・ノートを避け、効果的な音を選んで巧みに蛇行したアドリブラインを作っています。この事は次のTurrentineのソロにも同様、いやそれ以上に言えますが、BlakeyのドラミングのレスポンスがReeceの時よりも活発なのはTurrentineの演奏にインスパイアされている証拠でしょう。ここでもTimmonsのソロは明快でスインギーです。ピアノソロ後にトランペットとテナーが半コーラスづつソロを取りラストテーマへ。

3曲目はTenderly、Reeceは美しいメロディをピアノ伴奏だけで朗々とルパートで吹いていますが、バラードで表現すべき哀愁やしっとり感があまり感じられません。ラテン系のミュージシャンにはマイナーやブルーノートという概念が希薄だ、という話を聞いたことがありますし、その事を他のミュージシャンの演奏で感じた事があります。ルパート後も直ぐにミディアム・スイングでのソロになり、インプロビゼーションを聴かせるための素材扱いの如しです。続くTurrentineのソロには何とも言えない色気やサブトーンでの味わい、歌い回し、ファンキーさが表現されており、ミディアム・スイングでもバラードの延長線としてのプレイ、必然性を感じ取ることが出来ます。ピアノソロ後ドラムのフィルイン・フレーズを模してトランペットが再登場、ラストテーマはシャッフルのリズムにての演奏、リタルダンド、カデンツァでFineです。

4曲目はReeceのナンバーAchmet、冒頭ではBlakeyの繰り出すラテンのリズムにReeceのコンガ(!)が絡みますが、大変な躍動感です!さすがJamaica, Kingston出身!打楽器のお手並みも持ち合わせています。1’49″まで饗宴は続き、Reeceはトランペット奏者に戻るべくコンガ演奏を終え、その後はBlakeyのソロになります。曲自体はかなりアップテンポのスイング、リズミックな曲です。ソロ先発はTurrentine、テンポが速いにも関わらず低音部分を必ずサブトーンでふくよかに鳴らしています。リズムセクションの安定感も聴きものです。Reece, Timmonsと軽快にソロが続き、再びBlakeyのソロを迎えますが、ここでの皮モノを中心に拘ったドラミングは実に見事、抜群のテクニックを見せつけ、ラストテーマに突入しFineです。

5曲目The Story of LoveはA Love’s Storyとも呼ばれる、パナマ人作曲家Carlos Eleta Almaranが書いたナンバー。56年の同名Mexico映画の挿入曲として使われたことで広く知れ渡り、古今東西多くの歌手に取り上げられているラテンの名曲。日本でもかつて毎夜毎夜ナイトクラブやキャバレーで必ず演奏されたレパートリーの1曲です。ドラムのイントロに始まり、興味深いアンサンブルを伴ってトランペットのメロディが奏でられます。ここでのReeceの音色は曲の雰囲気にとても合致していて華やいでいます。サビはスイングになり、Turrentineの登場、この手のメロディ奏は実にお手の物、その後のテーマ部分も引き続きテナーが担当し、ムードを高めています。ソロはスイングになりReeceが先発を務めます。ソロのアプローチが実に巧みで歌っているのですが、ちょっと真面目過ぎるかな、と。この手のムーディな曲では遊び心が特に大切だと感じるのですが、続くTurrentineの演奏は彼が本来持つリラクゼーションが遊び心を誘発し、聴き応えのある演奏に仕立てていると理解しています。

ここまでがReece, Turrentine, JMトリオでの演奏になりますが、既にアルバム1枚分のボリュームがあります。当時リリースされなかった理由を考えても演奏の素晴らしさ、選曲やアレンジの充実ぶりから思い当たる点はないのですが、強いて挙げるならばBNはJMを売り出そうとしていたので、リズムセクションが全く同じではキャラが被ってしまうのを避けたかったのではないかと。その後Reeceは62年3月録音の作品「Asia Minor」をPrestige傍系New Jazzに録音、「Comin’ On」がリリースされないと判明したのでしょう、本作収録The Story of Loveをほぼ同じアレンジで、もう1曲Achmetの方は異なったアレンジを施し(タイトルも単なる誤植かも知れませんがAckmetになっています)Joe Farrell, Cecil Payne, Hank Jones, Ron Carter, Charlie Persipらと演奏しています。

後半のメンバーをご紹介しましょう。ピアノDuke Jordan、ベースSam Jones、ドラムAl HarewoodのリズムセクションにReece, Turrentine、更にもう一人テナー奏者Musa Kaleemが加わり、tp, ts, tsの変則3管編成となりアンサンブルに厚みが加わります。Kaleemですが21年1月West Virginia州出身、本名はOrlando Wright、Mary Lou Williams, Fletcher Hendersonらと共演、40年代にはBlakeyのコンボにも在団したそうです。同じ楽器が二人いればどうしても比較対象となりますが、Turrentineに聴き劣りすることのない音色、プレイを展開しています。

6曲目ReeceのオリジナルSands、トランペットの主旋律とテナー2管のアンサンブルとのコール&レスポンスが効果的なナンバーです。ドラマーが替わった事で随分と印象が変わっています。動のBlakeyに対し静、と言うより堅実のHarewood、JordanのバッキングやJonesのラインもくっきりと聴こえます。派手さとテクニック、華はダントツBlakeyの方に軍配が上がりますが、バンドアンサンブルを引き立てるのはHarewoodの方が適任です。ソロの先発はTurrentine、4月の演奏時よりもタイムが安定してレイドバック感が心地よく聴こえますが、こちらの録音当日の調子が良かったのか、3か月の間に進歩を遂げたのか、いずれにせよグレードアップした内容です。続くReeceのソロも同じくタイムがより安定して聴こえます。ひょっとしてHarewood他サポート上手なリズムセクションを得て、単純に落ち着いて演奏が出来ただけなのかも知れませんね。Blakey率いるリズムセクションとの共演では彼らと対峙する形になってしまいますから。そしてKaleemの登場です。深い音色、豊かなニュアンス、グルーヴ感、これは只者ではありません!フレージングが誰かによく似ていると感じましたが、これはBenny Golsonじゃありませんか!!ひょっとしてGolsonが変名を使って参加したのでは?とまで考えてしまいましたが違います。そしてKaleemの方が10歳近く年上なので、ひょっとしたらGolsonの方が演奏の影響を受けているのかも知れません。ピアノとReeceの短いソロを経てラストテーマへ。

7曲目Reeceのオリジナルで表題曲Comin’ On、ベースの短くともツボを得たスインギーなソロ、さすがSam Jonesです。引き続きイントロが始まりますが曲自体はブルース、メロディのスペースをたっぷりと取ったファンキーなテイストが、更にリラックスした雰囲気を醸し出します。テーマの最中からKaleemのソロが始まります。Golsonライクな音色は彼と同じ楽器セッティングを思わせますが、やはりOtto Linkメタル・マウスピース、オープニング10番、リードLa Voz Hardあたりのヘヴィー仕様のユーザーなのでしょうか?2’22″でソロがTurrentineにチェンジしますが音色とソロのアプローチの違いがはっきりしていて興味深いです。Turrentineのブルージーさが印象的でホンカー・テイストも感じます。続くJordan、Reeceのソロも好調ぶりを聴かせています。

8曲目Goose DanceはテーマでKaleemのフルートを効果的にフィーチャーしたナンバー、なかなかの佳曲です。Reeceの演奏も、4月の録音時よりもリラックスしているようです。Kaleemのテナーの音色には抜けきらない、こもった成分が聴こえますが、これがハードなセッティングを感じさせる要因でもあります。Turrentineの好調ぶりはここでも発揮され、ファンとしては嬉しい限りです。ラストテーマでは再びKaleemのフルートが聴かれます。

9曲目ラストを締めるのはReeceワンホーンによるバラードThe Things We Did Last Summer、Sammy Cahn, Jule Styneの作詞作曲コンビによるナンバーで61年4月同じくトランペッターTed Cursonのアルバム「Plenty of Horn」での、Eric Dolphyと演奏しているヴァージョンも印象的です。

4月収録のTenderlyよりも深い表現を聴くことが出来ますが、2曲のバラードを聴き比べての上での印象、この曲単体ではいささか物足りなさを感じそうです。Blakeyトリオに演奏を掻き回された(笑)テイクには緊張感がみなぎっていますが、それもまたジャズの醍醐味、本作はテンションとリリースの二種類のセッションが収録された他にあまり例を見ない、ユニークな内容の作品に違いありません。

2020.03.09 Mon

La Vita e Bella / Bob Mintzer, Dado Moroni, Riccardo Fioravanti, Joe La Barbera

今回はテナーサックスBob Mintzer、ピアノDado Moroni、ベースRiccardo Fioravanti、ドラムJoe La Barberaらのカルテットによる2005年イタリアでのライブ作品「La Vita e Bella」を取り上げてみましょう。

Live Recording at the Art Blakey Jazz Club, Community Giovanile, Busto Arsizio, Italy on 4 and 5 December 2005. Produced by Achille Castelli Exective Producer: Mario Cacci Label: Abeat Records, Italy

ts)Bob Mintzer p)Dado Moroni b)Riccardo Fioravanti ds)Joe La Barbera

1)The Gathering 2)La Vita e Bella(Life Is Beautiful) 3)Re Re 4)Kind of Bill 5)Bradley’s 2 Am? 6)After 7)Ninna Anna 8)Invitation

イタリア、アメリカのミュージシャン二人づつの伊米混合の編成、参加メンバー全員が自曲を持ち寄り、レギュラーバンドの如きグレードの高い演奏をライブ録音で繰り広げています。何よりレコーディングの音質、クオリティに徹底的にこだわった素晴らしい録音状態です。各々の楽器の音像、音質、定位、バランス、そして最も感じるのはライブ会場のアンビエント(環境という意味ですが音楽用語として会場の箱鳴りの事をいう場合があります)の豊かさですが、臨場感がハンパないです。ライナーノーツには各楽器への使用マイクロフォンやミキサー、コンプレッサー、イコライザー、録音卓、モニターetcの使用録音機材が実に詳細に記載されていますが、プロデューサーやレコーディング・スタッフのこだわりなのでしょう。これだけのクオリティの音質を収録出来た自負もあるのでしょうが、専門外なのでどれだけ凄い事なのか、自分には残念ながら馬の耳に念仏状態です。同じくMintzerが参加した作品09年録音「Standards 2 Movie Music」は映画音楽の名曲にジャズアレンジを施した作品、小唄感が心地良く、こちらはライブハウスではなく小ホールのステージを利用し、ライブレコーディングを行っています(オーディエンスは不在ですが)。共演メンバーはドラムPeter Erskine、ピアノAlan Pasqua、ベースDarek Olesの人選も適材適所です。録音状態も良く似た傾向の豊かなアンビエントで臨場感を伴った、そして外連味のないハイクオリティな演奏内容です。「La Vita e Bella」が数多くの異なったタイプのマイクロフォンを用いて楽器の音を細分化して収録し、録音後にPro Tools(デジタル録音、編集に欠かせないソフト)を用いて音の取捨選択(例えて言うならば音像を2次元として捉え、必要ない部分を消しゴムで消したり、強調したい箇所は立体的にうず高く盛り上げたり、反対に平らにする、PCを用いてレイアウトする編集作業です)をミキシングで徹底的に行うことでアンビエントを作り出しているのに対し、「Standards 2」は言わば真逆の状態、ダイレクト・2トラック・ステレオによる録音でマイクロフォンを左右に1本づつをメインに、補助的にセンターに1本、合計3本のマイクロフォンだけで収録しますが、録音開始前にマイクロフォンの位置をシビアにセッティングすることが絶対条件です。わずか1cmマイクロフォンの位置がずれただけでバランスと音像が激変してしまいますから。4人のミュージシャンの立ち位置、楽器の音の被り具合、その音量、ダイナミクスを見極めてちょうど良い位置にマイクロフォンをセッティングするのです。録音後ミキシングは行われない、と言うか、微調整すること自体が不可能、つまり始める前に全ての音を作り上げておく訳ですね。全く異なった録音方法にも関わらず同傾向の良い音で録音されるのが可能なのには驚かされます。もちろん最終的にはレコーディング・エンジニアの感性が物を言う事になりますが。

本作録音はMilanoの北に位置する基礎自治体(市町村や東京23区に該当します)Busto ArsizioにあるArt Blakey Jazz Clubで行われました。店の名前が良いですね、Italyは昔から米国のJazzに畏敬の念を持ち、Jazzを愛し、現在も素晴らしいミュージシャンを輩出しています。まずは参加伊国ミュージシャンを簡単にご紹介しましょう。ピアノ奏者Dado Moroniは62年Genoa出身、独学で学び17歳にして初リーダー作をリリースしました。渡米をきっかけに多くの米国プレーヤーと共演し、87年にはThelonious Monk Competionで優勝の栄誉に輝きました。Italyを代表するピアニストのひとりです。ベース奏者Riccardo Fioravantiは57年Milano出身、同様に多くの米国ミュージシャンと共演を果たし、05年に初リーダー作「Bill Evans Project」を自己のトリオ(Bass, Guitar, Vibraphone)で発表し、音楽性の高さからその名を不動のものにしました。

参加米国ミュージシャン、ドラマーJoe La Barberaは48年New York州生まれ、最晩年のBill Evans Trioのメンバーとして活躍した事で有名です。父親にドラムの手ほどきを受け、その後Berklee音楽院で学びました。テナー奏者Patとトランペット奏者Johnは実兄にあたります。Bob Mintzerは当Blogでも度々登場したテナーサックスの第一人者、彼の参加が本作の価値を否応なしに高めています。

La Barbera参加Bill Evans79年録音作品「We Will Meet Again」

それでは曲毎に見て行きましょう。1曲目MintzerのナンバーThe Gathering、ブルースですがサビが付けられたいかにもMintzerらしいナンバーです。冒頭に会場の演奏前のざわめきが20秒ほど収録されていますが、ライブレコーディングという事を宣言しているかの如し、ムードが高まります。奥行きをしっかりと感じさせつつ各楽器の音像はクリアーで、バランス感も抜群の録音はリラックスしたムードの演奏と相俟ってとても心地良いです。先発ソロはMintzer本人、実に好みのテナーの音色、タイム感やフレージングのテイストもある種僕自身の理想です。続いてFioravantiのベースソロ、こちらもアコースティックな木の音がする音色で、正確なピッチ、スインギーなラインに好感が持てます。Moroniのピアノはコンテンポラリーな中にもオーソドックスなテイストがバランス良く入った、例えるならばサシの入った高級和牛の霜降り肉状態、深い味わいを堪能させてくれます。その後ラストテーマを迎え、オープニングに相応しい演奏となりました。

2曲目はタイトルナンバーLa Vita e Bella、英語表記ではLife Is Beautiful、Academy賞ほか世界中の各賞を総なめにした97年の同名イタリア映画の主題曲です。ボサノヴァのリズムが美しく可憐なメロディと合わさった名曲、こんな良い曲がコンサートで演奏されたなら、終了後に演奏内容を噛み締めつつ、曲のメロディを口ずさみながら帰途についてしまいそうです(笑)。MintzerとMoroniの演奏も曲想に合致したチャーミングさを聴かせています。

3曲目もMintzerのナンバーRe Re、曲のコード進行はスタンダードナンバーThere Will Never Be Another Youが基になっています。冒頭テーマはピアノが参加しないテナー、ベース、ドラムの3人で演奏され、先発テナーソロからピアノのバッキングが聴かれます。テーマでコードが鳴っていると原曲のチェンジが明確になってしまうのを控えるためでしょうか。ここで感じるのはLa Barberaのドラミング、スインギーでレガートも素晴らしいのですが、プレイの全体的な表現が他のメンバーに比べてやや強過ぎるように聴こえます。もしかしたら録音の関係か、それともこのような表現法が彼のスタイルなのか、背の高いプレーヤーなので手足のストロークがあり、知らず知らずのうちに楽器が鳴ってしまうのもあります。何れかは分かりませんが、思うにもう少しコンパクトな表現が主体のドラマーで、オーソドックスな彼のスタイルよりもコンテンポラリーであれば、一層一体感が得られたように感じています。Mintzerの素晴らしいソロにインスパイアされたMoroniもスインガーぶりを発揮、続くベースとドラムの8〜4小節トレードもスリリングです!ラストテーマでもピアノのバッキングは行われず、オーラスでコードが聴こえるのみです。拍手が鳴り止まない最中、イタリア語訛りで「 Bob Mintzer !」と連呼するのはMoroniでしょうか?Bill Evansの名盤「At the Montreux Jazz Festival」、こちらはフランス語ですが、司会者の名調子による「あの」メンバー紹介を思い出してしまいました。

4曲目はLa BarberaのKind of Bill、美しいバラードナンバー、ドラマーは往々にして印象的なバラードを書くようです。ピアノのイントロに始まり、テナーとピアノのデュオで丸々テーマが奏でられます。ベース、ドラムが加わりスイングでピアノソロが始まります。テナーソロも同様に行われ、ラストテーマは再びテナー、ピアノのデュオでしっとりとFineです。

5曲目はMoroni作Bradley’s, 2AM?はドラムのイントロから始まる、ジャジーなテイストを湛えた佳曲、午前2時のNYC Bradley’sとは思えない明るさです(笑)。Moroni自身がソロの先発で華やかなソロを取り、Mintzer, Fioravantiと続きます。ラストテーマ後ヴァンプが延々と繰り返され、Mintzerがもうひと暴れして盛り上げています。

6曲目は同じくMoroni作の哀愁のボサノバナンバーAfter、こちらも良い曲ですね。ソロの先発はMintzer、コード進行に対して巧みなラインを繰り出しつつ、彼自身の唄をフラジオも交えかなり熱く聴かせます。続くMoroniはMcCoy Tynerのアプローチを覗かせつつ、こちらもパッションを感じさせるプレイを展開しています。La Barberaのバッキングが比較的一本調子なのが気になります。向こう正面からの正攻法の他に、搦手から攻める、演奏を俯瞰、鳥瞰したりと、異なった方面からの攻略が行われて然るべきだと思うのですが、皆さんはどうお感じになりますか。

7曲目はFioravantiのナンバーNinna Annaは穏やかなワルツのナンバー、ジャズの伝統に根ざしたコード進行、メロディラインにはホッとさせられます。1コーラスづつのソロ先発はFioravanti、続いてMoroniは美しいタッチで色彩豊かなラインを聴かせ、Mintzerの朗々とした唄いっぷりで演奏が引き締まります。

8曲目最後を飾るのはスタンダード・ナンバーInvitation、アップテンポの設定がフィナーレに相応しい、パッションの高さが示された演奏です。カウントを取るのがMintzer、選曲は彼のチョイスによるものでしょうか?81年12月録音Jaco Pastriusの名盤「The Birthday Concert」でのMichel Breckerとの壮絶なテナー・バトルが思い出されます。

何よりここでのLa Barberaのドラミングがtoo muchに聴こえません。早いテンポとInvitation自体が持つモーダル、コーダルが合わさった曲想が彼のドラミングと合致し、バランスが取れているのでしょうか。論理的にストーリーを構築するが如きMintzerのプレイへのLa Barberaの寄り添い感、同じくMoraniのグルーヴとスピード感をベースFioravantiと共にプッシュする一体感、そして超個性的では無いにしろ、エナジーの放出感が凄まじい迫力のドラムソロ、本作中最も白熱した演奏となりました。